Portraits of Absence

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(Statement)
北海道・根室。かつて多くの人々が海や大地と共に生きていたこの最東端の地は、いま急速な過疎化のなかにあり、かつての営みの記憶は静かに風化しつつあります。
本シリーズ『Portraits of Absence(不在の肖像)』において、私は夜から朝へと世界が移り変わるわずかな狭間の時間のなかに、かつて人間の営みがあった古い家屋や廃駅、廃校の姿を求めました。
画面のなかに、生身の人間は一人も存在しません。
しかし、そこには確かに「人間の気配」が満ちています。闇に沈む遺構の特定の場所を照らす一筋の光。
その光が当たっている場所にこそ、かつて人々が存在し、生きていました。暗闇のなかに浮かび上がるこの光は、かつてその場所で確かに灯されていた「命」であり、いまは失われたコミュニティの「温もり」の再現でもあります。

本来、肉体を持つ個人の姿を記録するはずの「肖像(Portrait)」という言葉を、あえて人が去った空間へと向け直すこと。可視化された光の気配は、かつてここに誰かがいたという厳然たる事実と、そして現在そこに誰もいないという空白(Absence)を、同時に映し出します。

これは単なる過疎化の記録ではありません。
夜と朝の境界で、光と闇、過去と現在、存在と不在が静かに交錯する瞬間に立ち現れる、「場所の記憶」の肖像画です。


[Portraits of Absence (不在の肖像)],
2025–2026 Archival pigment print
Dimensions Variable
Edition: 1/5 + 1AP
Captured in Nemuro, Hokkaido, Japan, during the blue hour between night and dawn. The precise illumination cast upon the abandoned structures serves as a physical metaphor for the human presence that once animated these now-silent spaces.